ラベル ジャズ研究日誌 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ジャズ研究日誌 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2007年6月4日

キース・ジャレット

カーネギーホールコンサート…数ヶ月前に購入
東京ソロ2002…先日購入

キース・ジャレットのピアノの奥深さにはいつも驚かされます。その都度ピアノの前に座ったときに思い描いた音楽をそのまま演奏する即興演奏にこだわったスタイルはジャンルの垣根をこえて、まるでキース・ジャレットというジャンルを作り上げているようです。

彼の演奏は他のジャズピアニストと比べるとポリフォニックな演奏が多いです。普通ジャズを含む多くのポピュラーピアノはモノフォニックと言ってコードが織りなすハーモニーの上にメロディが乗っていたり、またはあるメロディにコードが色付けしてハーモニーを生み出す形式が主です。しかしキース・ジャレットの場合は、一つのメロディがあって、それを取り巻く独立したメロディが絡み合って一つのハーモニーになっています。

このポリフォニックという手法は音楽の原点で、ヨハン・セバスチャン・バッハが確立させたもので、鍵盤楽器のために作曲された作品では最大4つのメロディが同時進行します。つまり2つのてで4パートのアンサンブルなのです。そしてキース・ジャレットの場合はこの複数のパートそれぞれが即興演奏でアドリブなのです。

キース・ジャレットもバッハを好んで演奏し、平均律クラビーア曲集やゴールドベルク変奏曲などの録音を発表しています。多分この影響が彼の即興演奏に反映されているのでしょう。

もちろん彼のピアノの美しさは彼の演奏そのものが素晴らしいからだと思います。今回東京ソロのDVDを見てようやく理解しましたが、脱力した両腕は本当にしなやかで、同作品のパート2dやアルバム「Melody at Night, with you」などのいわゆる癒し系の演奏はこの洗練されたタッチから生まれるのだろうと納得せざるを得ません。

よくビル・エバンスの影響を受けたピアニストの一人としてキース・ジャレットの名前があがりますが、当の本人はLetter From Evans誌のインタビューでそれを否定しています。ピアノトリオに力を入れている点ではエバンスと共通しますが、ソロピアノではキース・ジャレットは完全にオリジナルです。そのスタイルがこれからどのように進化していくのかが非常に楽しみです。

2007年6月2日

ノラ・ジョーンズのビデオ公開中!

Amazon.co.jpにてNot Too Lateのビデオが公開中です!

演奏している曲は「Rosie's Lullaby」というちょっとブルージーな曲です。ノラ自身がフェンダーローズを弾き語りでとっても味があります。ビデオのすぐ上にスペシャルコンテンツとあります。こちらは彼女の生い立ちやプロフィールがごらんになれます!

と今回の投稿の目的は、アルバムの宣伝をすることもあるのですが、同時にAmazon.co.jpのアソシエイトプログラムにある商品プレビューという新しい機能の実験でもあります。
上の「ノラ・ジョーンズのノット・トゥ・レイト」にマウスのポインターを持っていくと、ポップアップウィンドウが立ち上がり、アルバムの詳細を見せてくれるそうです。

もし良かったら試してください。

2007年5月26日

トリオ・モンマルトル

ニルス・ラン・ドーキーのピアノは落ち着きますね〜。デンマークとベトナムのハーフだそうですが、パリに長く住み、ボストンやニューヨークでも活躍したそうです。

フランスといえばミシェル・ペトルチアーニも有名なピアニストですが、優しく鮮明なタッチはどこか共通点があるようにも思えます。

「カフェ・モンマルトルからの眺め」はフランスの歌曲を多く集めたアルバムですが、中にはブルース・ア・ラ・モード(ブルースではないですが)のようなファンキーな曲もあります。まさにカフェで聴きたいアルバムです。

フリージャズ

ジョン・コルトレーン氏の「Live in Seattle」を聴いています。10年前にこのCDを購入したときは、訳がわからず一回聴いてお蔵入りしてしまいましたが、久々にプレーヤーでかけてみると違う音楽に聞こえて楽しいですね。

特にBody And Soulは白熱でした。ワン・ベースラインに乗っかったコードの動きが印象的でした。フリージャズの中にも彩りってあるんだ、と思いましたね。ある論評に「フリージャズは否定するばかりで何も生まれなかった」と言ってましたが、十分世界観はあると思います。

コルトレーンのフレーズにもモチーフの展開等があって、インプロヴァイザーとしての年輪を感じさせてくれました。マッコイ・タイナー氏のピアノも音楽的要素をたくさん含んだ内容の演奏です。激しいパワーで圧倒されました。2枚目のEvolutionの冒頭は、3管の掛け合いがモロにハーモニーを無視したものでしたが、ダイナミックやピッチを加減しながら一つの「音楽」を作り出している感じがよかったです。

マイルス・デイビス氏がフュージョンへ向かって進んでいる間にコルトレーン氏はフリージャズへ。互いに道は違えど革新的に音楽に取り組んでいたのでしょうね。そんな印象をもったアルバムでした。

2007年5月11日

うれしいこと

最近ジャズピアノ研究室の更新が滞ってますが、日々ジャズを聴いております。

本職でも毎日ピアノに触っておりますが、この写真のピアノはかの有名なチック・コリア氏がアルバム「Now He Sings, Now He Sobs」のジャケットで演奏しているピアノと同じモデルなんです。

ヤマハのC3Bといいます。あちらの外見は茶色なので、黒いこのピアノとは見た目が違いますが、中身は全くいっしょです。コリア氏がこのアルバムを発表したのが1968年。現在でも良い音しますよ〜。

しかし日本のピアノを海外の有名アーティストが使っているのを見るとうれしいですね。クラシックでは、あのグレン・グールド氏が最晩年に使用していたのがヤマハで、いまでもどこかのホールに展示されているそうですね。

2007年4月21日

スタンダードを調べる

ジャズスタンダードについての情報を集めるって結構大変です。スタンダードの多くは1930~1940年代に世に出たものが多く、その殆どが当時のアメリカのエンターテイメントで主流だったミュージカルのようです。その後映画やテレビの音楽も採用されていますが、時代の流れとともに新しい曲が少なくなっていきます。(ちなみにハービー・ハンコックがNew Standardというアルバムを発表した際に、時代の流れとともに音楽的にジャズに合うものが少なくなっていったのも事実、とジャズ・ライフ誌のインタビューで述べていました)

ネットで調べるのが大半なのですが、資料があまり多く残っていないので大変です。

Great American Songbook


でも買おうかと考える今日この頃です。

2007年4月14日

Baby, It's Cold Outside.

ジャズスタンダードのページにとりあえず自分が好きなスタンダードを並べて、気になった曲からいろいろ言葉をつけていくという手法をとることにしました。そうしたら集まった曲が(たったの?)100曲程度だったのはちょっと寂しいです。

ユーザーIDとパスワード発行してくれたら参加してみたいという方、いましたらご連絡下さいm(__)m。

で、今回はタイトル通りBaby, It's Cold Outsideについてふれてみたわけですが、この曲は歌モノで一番好きな曲です。ジャズのラジオチャンネルでひたすら録音しまくっていたときにたまたまキャッチした曲でした。曲のタイトルのように寒い季節でもありました。

そしてこの曲は、唯一歌詞を耳コピした曲でもありました。当時はインターネットもなく、この曲を収録したアルバム自体がCDでは廃盤だったので、歌詞を探すのに苦労した末の耳コピでした。歌い手はレイ・チャールズとベティ・カーターでしたが、レイ・チャールズ氏の伝記映画公開時にこの曲が再び日の目を見たときは神に感謝したものです(レイ・チャールズ氏の他界直後で不謹慎ですが…)。

自らコピーした歌詞だけに内容も勉強になりました。古き良きアメリカの1ページだなあと感慨深いものがあります。カーター氏の声の甘美さと曲全体の雰囲気が大好きで今でも私のベストナンバーです。

個人的なことなのでブログに記しましたが、おすすめですのでぜひ聴いてみて下さい。

2007年3月10日

フランス音楽とジャズの奇妙な関係

今度、ピアノの課題曲がドビュッシーの「子供の領分」になりまして、ただいま譜読みの真っ最中なのですが、ここで面白いことを発見しましたのでブログに記したいと思います。(ところでこの組曲の一曲目、最近テレビのCMに起用されてますね。家電製品だったような…。)

子供の領分は6曲から成る組曲ですが、一番最後の「ゴリヴォーグのケークウォーク」が「エンターテイナー」等で有名なラグタイムの音楽にそっくりなんです。A-B-A-C-Dを中心としたラグタイムの構成は違うのですが、ルートとコードを交互に左手で弾くストライド奏法や、シンコペーションのリズムなどがまさにそっくりです。

調べてみると、タイトルにもあるケークウォークとは20世紀の初めにフランスの黒人の間で流行したダンスのことで、これがフランス人女性たちにもウケていたそうです。作曲家のクロード・ドビュッシーはパリの万国博覧会で聴いたガムランや日本の水墨画など海外の芸術を自分の作品に取り入れた国際派です。黒人文化も彼にとって斬新な素材だったのかもしれません。

ではフランス音楽はアフリカ文化の恩恵に授かっているだけかというとそうでもありません。ほぼ同時期にアメリカで流行っていたラグタイムは、やはり黒人文化と西洋音楽の融合体で、その後発展を続け、ルイ・アームストロングらのポリフォニックジャズ、ビッグ・バンド主流のスイング時代、チャーリー・パーカーらを中心としたビバップと形を変えていきます。総じてジャズはフランス音楽の影響を確実に受けていると見られます。その要素の一つが長7度です。

現代では当たり前となったメジャーセブンスコード(CM7、C△7など)は、バロックから古典派やロマン派まではほとんど使われることはありませんでした。長7度とはルートの半音だけ下の音なので不協和音と考えられていたのでしょう。ロマン派になって、フランツ・リストが9度や13度を用いるようになりましたが、長7度が顕著に聴こえるようになったのはサティ、ドビュッシー、ラヴェルなど20世紀の音楽家の作品です。偉大な作曲家は常に新しい音楽を求めて創作し続けましたが、ルートとわずか半音となりの長7度の響きが認められるようになるまではそれなりの時間と段階が必要だったようです。

ジャズの世界でもこの長7度は、特にバラードなどハーモニーを重視した曲に見られます。中でもエロール・ガーナー作曲のミスティは、Look at me〜と歌い出す「me」の音が長7度です。ドビュッシーの「夢」をカヴァーした「Eroll's Reverie」を録音していたことから、フランス音楽を好んでいたのではないかと思われます。その他のスタンダードでも「I Remember You」、「I Can't Get Started」など長7度をメロディに用いた曲はたくさんあります。

そして、ジャズがフランス音楽から受けた最も大きな影響はモードの採用でしょう。ピアニスト、ビル・エバンスによりマイルス・デイビスに紹介・採用され、爆発的に広まったこの技法は、ジャズの地位を単なるエンターテイメントから芸術の域まで押し上げました。その後、ハービー・ハンコックやチック・コリアなどのピアニストたちに受け継がれ、それぞれスタイルを変えながら発展していきます。

また、アメリカのジャズアーティストたちは数多くパリを訪れ録音を残しています。バド・パウエル、ビル・エバンス、オスカー・ピーターソン、マイルス・デイビス、キース・ジャレットなど、名前を上げるときりがありません。

その反対に、フランスも素晴らしいジャズミュージシャンを多数生み出し、ニューヨークへ送り出しています。ステファン・グラッペリをはじめ、ミシェル・ペトルチアーニ、フレンチ・ジャズ・トリオなどがそうです。

20世紀の初めに生まれた音楽は、アメリカとフランスでそれぞれ発展し平行線をたどりながらも、互いに刺激しあっているように思います。もちろんどちらも素晴らしい音楽ですので、今後の展開が楽しみです。

子供の領分、月曜日まで譜読み…。まだ6曲中2曲目…(-_-;)。

2007年2月25日

ブルースは神秘的な音楽

ジャズの起源はブルースっていうのは通説ですが、しかしこれほどシンプルで奥の深いスタイルは珍しいと思い少し考察することにしました。

1度、4度、5度の3つのコードのみで構成した12小節の進行を延々と繰り返すブルースは、半世紀以上その原型が変わっていません。この12小節というのが共通のルールであとは曲のテーマもキーも拍子やテンポも自由です。

あるコード進行にまったく違うメロディをのせて新しい曲として発表するという手法は、ビバップ全盛期によく見られました。例えばジョージ・ガーシュインのアイ・ガット・リズムは有名で、オレオやビル・エバンスのファイブに生まれ変わっています。しかしブルースの場合は、原型となるスタンダードがありません。

そもそもブルースの起源はというと、アメリカの南北戦争時代に軍隊が捨てた楽器をアフリカ系アメリカ人が拾って1コードだけでジャムセッションを始めたところともいわれています。それが2コードになり少しずつ増えて12小節になったそうです。

シンプルさが人気の秘訣なのはもちろんですが、ハーモニーもブルースの重要な要素です。先にもあるように、1度、4度、5度の3つのコードのみで構成されているので、どのコードへの移行も音楽理論上スムーズです。また、おもしろいのは、3つのコードすべてをドミナントコードで統一していることです。

ドミナントコードとは、キーの中の5度の音をルート(根音またはベース音)にしたメジャーコードで、クラシック音楽の時代から曲の締めくくりに必要な極めて重要な和音です。特にこのコードに含まれる3度と7度はトライトーンともいい、ジャズの表現技法には欠かせない音です。ブルースのコードば3つすべてにこのトライトーンがあります。しかもこ3のトライトーンはそれぞれ半音ずつずれます。

具体的な例をあげると、キーがCのブルースでは1度がC、4度がF、5度がGですが、それぞれのトライトーンはE-Bb、Eb-A、F-Bです。この半音移動がブルースにより心地よい和音効果を与えます。

作曲家や楽器を演奏する方は経験があるかと思いますが、曲中に現れるアクシデンタル音は不協和音ですが、半音戻して解決することやにより聴き手に安心感を与えます。科学的根拠がないのが残念ですが、音楽史上繰り返されてきたセオリーです。単純にドレミファソラシ〜ときたら次は「ド」というのが西洋音楽では一般的な解釈です。半音上下して解決するのは音楽的に気持いいことなのです。
ブルースにはこの半音解決がたくさん詰まっています。先ほどのトライトーンによる移動も解決の一つですし、#9→3 b9→1 #11→5 or 3 b13→5 などドミナントコードの変化形に現れるエクステンションのほとんどが3和音の要素へ解決します。ブルースのコードがドミナントコードであることが、アドリブの自由度を高め、また可能性を広げているとも言えるでしょう。

ジャズの歴史上ルイ・アームストロングのホットファイブ時代から時が変わり、演奏が変わり、録音技術が変わった今でもブルースといえば12小節の音楽。深く考えると不思議なのですが、そんなことしなくてもいつもかっこいい音楽というのが神秘的に思えた今日この頃でした。

2007年2月13日

ジャズと人種問題

最近登録したアルバムにハービー・ハンコックのザ・プリズナーというアルバムがあるが、改めてライナーノーツを読んで驚いた。収録曲のタイトルから何らかのストーリーがあるとは思っていたが、まさかマーティン・ルーサー・キング牧師のことと、当時なかなか改善されなかった人種差別を嘆くものとは…。

しかもハービー・ハンコックの視点が第三者的であるのが素晴らしい(不適切な表現ですみません)。アフリカ系アメリカ人として、キング牧師を倒した凶弾を恨むわけでもなく、ジョン・コルトレーンのようにそのサウンドがマルコムXのような攻撃的なイメージを生むこともない。あくまでアメリカの人種問題を、当事者でありながら客観的にとらえたところがこのアルバムの意義をより重厚なものにしている。

ジャズと人種問題は切り放せない。マイルス・デイビスも若い頃の経験から人種に言及することもあるし、そういったエピソードは多々ある。ジャズピアノ研究室では、なるべくこの問題については触れないようにしてきたが、このザ・プリズナーには胸が熱くなったので本編でも多少触れさせていただいた。

地域、民族、時代、個人など様々な要素が混ざりあって世界の音楽は多様化していると思う。しかしそれは決して肌、目、髪の色によって区別されてはいけない。日本国内ではジャズに限らずスポーツなどでも人種をアイデンティティーとして用いることがあるが、国際社会の現代では見直されるべき点だと思う。

2007年1月30日

LETTER FROM EVANS

数年前、ビル・エバンスの楽譜を探していたときに、エバンスの演奏をハーモニーから分析する「Harmony of Bill Evans」という本を見つけた。興味深い内容だったため買ってみたのだが(同書についてはビル・エバンス研究室を参照)、冒頭にLetter From Evansという言葉が出てくる。最初は意味がわからなかったのだが、後々ウェブ上でそういったニュースレター(公報誌?)があったことがわかった。

LFEの紹介があったのはBILL EVANS JAZZ RESOURCEというサイト。エバンスの生い立ちなどについて紹介があるページだった。そこにLFEの紹介として、掲載された楽譜やインタビューなどの紹介があったので買うことにした。

メールで連絡すると、編集者のウィン・ヒンクル(Win Hinkle)氏から返事が来た。送料など込みで115ドルほどだったと思う。不安もあったが到着を待つこと10日間で到着した。

中を開けてびっくり。コピー用紙に印刷された記事がホチキスで留められた簡単なものだった。同人誌なみの外観に唖然としたが、内容はしっかりしたものだった。大物インタビューや耳コピー譜、アルバムレビューなど当時のファンには嬉しい内容だったろう。エバンスへのトリビュートレターと受け止めても、個人が有志を募って発行し続け、それを購読した人がアメリカ、ヨーロッパを中心に多数存在したことも、ビル・エバンスの影響力をうかがわせる。

残念だったのはwww.billevans.org(外部攻撃被害のため現在はアクセス不可)でヒンクル氏が批判していたオリン・キープニューズ(Orrin Keepnews)氏のインタビューへの対応だ。「ファンマガジンに協力するつもりはない」と突っぱねられたとヒンクル氏はLFEの価値を強調、反論するが、購読者にチック・コリアなど著名な人物がいたことから、本誌が注目を集めていたことは明らかだ。オリン・キープニューズ氏の対応が軽率であったとヒンクル氏に同意したい。

ともあれ、現在はCD-ROMでしか手に入らない貴重なビル・エバンスの資料だ。今後ビル・エバンス研究室では翻訳など認知活動に努めたい。

(現在はビル・エバンス研究室に目次のみ紹介)

2006年12月16日

解説とは難しい。

ジャズアルバムを紹介するサイトであるからメインのコンテンツはテキストによる表現になるのだが、書けば書くほど語彙の足りなさを痛感する。逆を言えば、資料としてライナーノーツを読めば読むほどライターの言葉の豊富さが勉強になる。

一口で言ってしまえばジャズファンにとってジャズは「いい音楽」なのであって、グッドとかナイスのようなポジティブな言葉で表してしまえば完結してしまうのだが、サイトとして多量のアルバムを紹介するならそうはいかない。あらゆる単語を駆使して文を組み立てながらその音楽の良さを証明する要素を集めていかなければならないのだ。

と、屁理屈を述べるのはここまでにして、ではどんな解説が良いのだろうかと常日頃から考えるのだが、その条件として

1.客観的である → やたら個人の主張を反映させない
2.裏付けがある → 演奏の中にある音楽的要素を列挙することで証拠を突きつける

が現在あがってる。

音楽とはスポーツや学力テストのように目に見える結果というものがない。スターウォーズのジョージ.ルーカスも言っていたが、「良い」「悪い」はその人の見方であり、たとえある者に良く見えても他人からは悪いこともあるのだ。芸術、政治、宗教などはその典型で、どうやっても万人を満足させられる個はない。だからみんな四苦八苦してその良さを伝えようとするのだが、ウェブ上でこれを展開するにはやはり豊富な言葉や表現力に尽きるのである。

まだ思考段階のことなのでここで区切るが、当研究室でもジャズの良さを伝えるには苦労している、と書きたかったのである(^^ゞ。

2006年11月29日

マイルス・デイビス

今回データベースにアルバムの紹介をするにあたって、ジャズの帝王、マイルス・デイビスと彼のバンドについてよく知る必要があると思いライナーノーツや自伝を読み返してみた。自伝は10年ほど前だったが以前にも読んだことがあった。あのときは学生だったので、社会人になって読んでみるとまた違った角度から マイルスを見ることができる。

まず彼は人を育てるのが上手だ。決して他人をおだてるわけでもなく無論マイルスが媚びるなどということはない。彼の才能が絶 対的な説得力を持ってメンバーを納得させるのだろう。ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース・フィリー・ジョー・ジョーンズを 従えた最初のクインテットの前評判などはあまり良いものではなく、世間の期待は薄かった。それでも伝説になるようなアルバムを4枚も、しかもたった2回の 録音で完成させてしまう仕事振りは多くのビジネスマンも参考にしたいものだ。

とにかくスピードが要求される今日の社会では内容が煩雑になる傾向も多い。マイルスのような人物は自分の信念に従って短い時間の中で人を指導し、完璧に仕事をこなしていくのだ。勉強になった。次は1957年以降のマイルスの勉強に 入るが、新しいクインテットも楽しみだ。