2007年1月30日

LETTER FROM EVANS

数年前、ビル・エバンスの楽譜を探していたときに、エバンスの演奏をハーモニーから分析する「Harmony of Bill Evans」という本を見つけた。興味深い内容だったため買ってみたのだが(同書についてはビル・エバンス研究室を参照)、冒頭にLetter From Evansという言葉が出てくる。最初は意味がわからなかったのだが、後々ウェブ上でそういったニュースレター(公報誌?)があったことがわかった。

LFEの紹介があったのはBILL EVANS JAZZ RESOURCEというサイト。エバンスの生い立ちなどについて紹介があるページだった。そこにLFEの紹介として、掲載された楽譜やインタビューなどの紹介があったので買うことにした。

メールで連絡すると、編集者のウィン・ヒンクル(Win Hinkle)氏から返事が来た。送料など込みで115ドルほどだったと思う。不安もあったが到着を待つこと10日間で到着した。

中を開けてびっくり。コピー用紙に印刷された記事がホチキスで留められた簡単なものだった。同人誌なみの外観に唖然としたが、内容はしっかりしたものだった。大物インタビューや耳コピー譜、アルバムレビューなど当時のファンには嬉しい内容だったろう。エバンスへのトリビュートレターと受け止めても、個人が有志を募って発行し続け、それを購読した人がアメリカ、ヨーロッパを中心に多数存在したことも、ビル・エバンスの影響力をうかがわせる。

残念だったのはwww.billevans.org(外部攻撃被害のため現在はアクセス不可)でヒンクル氏が批判していたオリン・キープニューズ(Orrin Keepnews)氏のインタビューへの対応だ。「ファンマガジンに協力するつもりはない」と突っぱねられたとヒンクル氏はLFEの価値を強調、反論するが、購読者にチック・コリアなど著名な人物がいたことから、本誌が注目を集めていたことは明らかだ。オリン・キープニューズ氏の対応が軽率であったとヒンクル氏に同意したい。

ともあれ、現在はCD-ROMでしか手に入らない貴重なビル・エバンスの資料だ。今後ビル・エバンス研究室では翻訳など認知活動に努めたい。

(現在はビル・エバンス研究室に目次のみ紹介)